展示会報告 小田原シダ研究グループ


101114日、小田原フラワーガーデンにて小田原シダ研究グループ、小田原フラワーガーデン・パートナーズ共催の「第16回 羊歯 植物鉢植展」が開催されました。今年のテーマはカナワラビの仲間で、神奈川県西湘地区で見られる種類の鉢植えはもちろん標本、写真をもとにその魅力が広く展示されました。また、昭和薬科大学薬用植物園の薬用シダの展示も注目されていました。


カナワラビの仲間は、名前の通りにオシダ科カナワラビ属になります。山草愛好家によく知られる種類といえば、やはりリョウメンシダとハカタシダでしょう。

リョウメンシダ


葉裏の胞子嚢群

丘陵や山地のやや湿った林床に生える。谷あいの杉林ではよく群生する。和名は胞子嚢群がないと表裏の質感が似ていることをあらわす。リョウメンシダ×コバノカナワラビの推定雑種にカワズカナワラビがある。また、ホソバカナワラビとリョウメンシダの推定雑種に発見地の神武寺の名がついたジンムジカナワラビがある

カワズカナワラビ


ジンムジカナワラビ


ハカタシダ

ミドリハカタシダ

艶なしハカタシダ

やや乾燥するところに生える。和名は葉に入る白い斑を博多帯の模様に例えたもの。箱根の丘陵に生える、白斑のないタイプはミドリハカタシダと呼ばれる。ハカタシダ×ホソバナライシダの推定雑種にキサラギカナワラビがある

キサラギカナワラビ

ホソバカナワラビ


斑入り

温暖帯の代表的なシダ。葉の先は次第に狭くなるが頂羽片をつくらない

コバノカナワラビ


胞子嚢群
関東以西に分布。葉の先(頂羽片)は次第に狭くなる。根茎は短く這うがホソバカナワラビのように大群生はしない。ホソバカナワラビ×コバノカナワラビの推定雑種にホソコバカナワラビがある

ホソコバカナワラビ


オニカナワラビ


秋田県以南に分布。葉の色は黒味がかった緑。 頂羽片を作らず、次第に小さくなる。根茎は這わないので株立ちに見える

     
                                           シビカナワラビ

大分・鹿児島の山地にまれに生える。オオカナワラビに似るが、葉はやや厚みがある。和名は産地の紫尾山に由来


ヒュウガカナワラビ

宮崎県えびの市の山地に生育するとされるが、現状不明のシダ。シビカナワラビに似るが葉が小さく、 上部の羽片は次第に短くなり頂羽片をつくらない


ハチジョウカナワラビ

 

発見地は八丈島だが、広い範囲に分布。ホソバカナワラビより細かく、裂片の鋸歯の棘が鋭い


ツクシカナワラビ

エンシュウカナワラビに似るが、包膜が全縁。根茎が太く長く這い群生する


アタシカカナワラビ




三重県新鹿で発見。ホソバカナワラビよりも葉身はさらに細かく切れ込む。表面は淡緑、裏は抹茶色


その他の推定雑種


シモダカナワラビ  ホソバカナワラビ×オニカナワラビの推定雑種


テンリュウカナワラビ  
オオカナワラビ×コバノカナワラビの推定雑種


ヤマグチカナワラビ  
ミドリカナワラビ×オオカナワラビの推定雑種。新葉は紅色。裏面脈上に宿毛がある


参考種のシダ

ヒメカナワラビ



和名にカナワラビの名はあるがイノデ属のシダ

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